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● 貸金業者に有利な判決もあります
最近でこそ、最高裁の姿勢が変わり、過払い金返還請求に関しては、全体として借り主側の主張を採用する判決が増えています(もっとも、最近最高裁がまた貸金業者側に寄りつつある感じはしますけど・・・)が、数年前までは消費者側の弁護士の目からは、裁判所は貸金業者の味方だという思いが強くありました。今でも、裁判例の大勢が見えてきた論点でさえ、裁判例の主流からは考えられないような貸金業者寄りの判決をする裁判官も、ときどきいます。また、今でも貸金業者側になかなか勝てない論点も残されていますし、なぜか連戦連勝する貸金業者もいます。しかし、このサイトも含めて、消費者側の弁護士は、そういうことは基本的には紹介しません。
 
それは、すべてのノウハウを書いてしまったら商売にならないからではありません(私たちの仕事はそのレベルを超えた個別事件での判断と読みが大事です。ウェッブサイトで情報を公開したから商売にならないレベルの仕事ではありません)。また、自分が負けた判決を紹介するのが恥ずかしいからでもありません。
 
インターネットの記事は、誰でも読むことができるし、誰が読んでいるかわからないものです。私たちがウェッブサイトに書くときは、事件の相手方に読まれても困らないということを判断基準にします。特定の貸金業者がする特徴的な論点があって、その論点ではなかなかその貸金業者に勝てないという場合、そういう情報を書いて、他の貸金業者に読まれると、真似をする貸金業者が増えて消費者側・借り主側に不利になります。

特定の貸金業者が連戦連勝していることも同じです。みなし任意弁済について、最高裁の2006年1月の一連の判決が出る前、シティズという貸金業者はみなし任意弁済について連戦連勝していました。その時点では私はそういうことはサイトでは紹介しませんでした。そういうことを広めることでみなし任意弁済を認められてきたシティズの書面を真似する貸金業者を増やしたくなかったからです。

そういう意味では、その論点が克服できたか、その見通しが立つまではそういう情報は書きません。ですから、素人の方が、弁護士のウェッブサイトを見て、貸金業者側の主張が採用されている判決を知らずに簡単に勝てると思いこんで、安易な起こし方をすると、予想外の反論や裁判所の対応に会うことがあります。


● 推定計算
過払い金返還請求の話で、取引履歴を途中からしか開示しない貸金業者に対しては推定計算をして貸金業者が開示してきたらそれにあわせて再計算するということを書いていますが、これも相手によりけりですし、ノウハウがあります。貸金業者でも、裁判を起こしたら追加開示してくることもありますが、一定のラインからは何があっても開示しない(既に破棄したと言い張る)ことも増えています。
 
推定計算も、あんまりいい加減にやると、裁判所の心証を害することもあります。貸金業者が読むことを考えると、具体的には書けませんが、現実にはあり得ないとか理論的におかしい推定計算を出してしまうと、勝訴が難しくなることがありますし、後から変更するのもまた信用されないという危険があります。

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